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歯の知識

朝起きるとどぶ臭い口臭がする理由と、歯科でできる改善法

親子三代で安心して通える歯医者、船橋市のあおぞら歯科クリニック本院です。皆さん、朝起きたときに感じる“どぶ臭い口臭”ってご存じでしょうか?

寝起きの口臭は多くの方に起こりますが、強いニオイが続く場合は、お口の中で細菌が増えていたり、歯周病やむし歯が進んでいる可能性があります。特にどぶのようなニオイは、患者様ご自身では気づきにくく、毎日の生活にも影響を及ぼすことがあります。

当院では原因を丁寧に確認し、お口の状態に合わせた改善方法をご提案しています。朝の不快なニオイを減らすために、この記事が参考になれば幸いです。

 

朝の口がどぶ臭くなる主な原因とは?

朝起きたときに強く感じる“どぶ臭い口臭”は、単に寝起きだからという理由だけではなく、複数の要因が重なって発生していることが少なくありません。特に、普段の生活習慣やお口の状態が影響しやすく、慢性的に続く場合は、お口のトラブルが進行しているサインとも考えられます。ここでは、朝のどぶ臭さにつながる主な原因について、当院の視点から詳しく説明します。

 

①睡眠中に唾液の分泌が低下するため

私たちの口の中は、日中は唾液の働きによって自浄作用が保たれています。唾液には細菌の増殖を抑える働きがあり、食べかすを洗い流す役割も担っています。しかし、睡眠中は体の活動が低下し、唾液の分泌量が大幅に減ります。その結果、細菌が繁殖しやすくなり、細菌が食べかすや舌の汚れを分解したときに発生するニオイ成分(揮発性硫黄化合物)が増えることで、どぶ臭い口臭が強くなるのです。

特に、普段から水分をあまり摂らない人や、寝る前の飲酒・喫煙の習慣がある人は唾液の量がさらに減りやすく、寝起きの口臭が悪化しやすい傾向があります。

②舌の汚れ(舌苔)が増えている

舌の表面に白っぽい汚れが溜まる「舌苔(ぜったい)」は、口臭の大きな原因のひとつです。この舌苔は、食べかす、細菌のかたまり、粘膜の剥がれた細胞などが混ざってできるもので、どぶのようなニオイを発する細菌が多く含まれています。

朝起きたときに舌が厚く白く見える場合や、舌ブラシで軽くこすると汚れがたくさん取れる場合は、舌苔が増えているサインです。特に、口呼吸をしている方や、水分摂取が少ない方、風邪や体調不良が続いている方は舌苔がつきやすく、どぶ臭いニオイが悪化しやすくなります。

③歯周病が進行している

どぶ臭い口臭の原因として非常に多いのが「歯周病」です。歯周病は、歯と歯ぐきの隙間に細菌が溜まり、炎症を起こすことで進行していく病気です。進行すると歯周ポケットと呼ばれる深い溝ができ、内部に溜まった細菌が強烈なニオイ成分を作り出します。

特に、歯周ポケットの奥に膿が溜まっている場合や、歯ぐきから血が出やすい場合は、口臭として“どぶのような生臭いニオイ”が出やすくなります。歯周病は痛みが出にくい病気のため、自覚症状が乏しい患者様も多く、朝起きたときのニオイをきっかけに気づくケースが少なくありません。

④むし歯や歯の根の感染が原因の場合

進行したむし歯や、歯の神経が死んでしまった状態(根管の感染)がある場合、お口の中で腐敗臭のようなニオイが発生することがあります。特に、根の中で細菌が増殖すると、膿がたまったり歯の内部で腐敗が進むことで、強烈などぶ臭さにつながることがあります。

「噛むと違和感がある」「冷たいものがしみる時期があったが最近は痛くない」などの症状がある方は、歯の内部で炎症が進んでいる可能性があります。また、以前治療した歯の詰め物や被せ物の隙間から細菌が入り込み、内部でトラブルが起きているケースもあります。

⑤口呼吸が習慣になっている

睡眠中に口が開いてしまう「口呼吸」は、朝の口臭を悪化させる大きな要因です。鼻呼吸に比べて、口呼吸はお口が乾燥しやすく、細菌が増えやすい環境になります。特に、いびきをかく方、鼻づまりがある方、枕の高さが合っていない方は、無意識に口呼吸になっていることが多いです。

口呼吸によって口が乾燥すると、舌苔の付着や細菌の増殖が進むため、どぶ臭いニオイが強まりやすくなります。

⑥義歯(入れ歯)や装置の清掃不足

部分入れ歯や総入れ歯、マウスピースなどを使用している場合、それらに付着した汚れが強い口臭の原因になることがあります。特に、夜間にそのまま入れ歯をつけっぱなしで寝ている場合、細菌が付着したままになり、寝起きのニオイが悪化しやすくなります。

入れ歯専用の洗浄剤で毎日しっかり清掃することが重要ですが、義歯の形状によってはご自身で汚れが取りきれないこともあり、その場合は歯科での専用クリーニングが効果的です。

⑦胃腸の不調やストレスの影響

胃腸の働きが低下していたり、ストレスで自律神経が乱れたりすると、唾液の分泌が減って口臭が強くなることがあります。特にストレスは、自分では気付かないうちに口呼吸を引き起こしたり、夜間の食いしばりによってお口の乾燥を招くことがあります。

さらに、疲れが溜まっていると舌苔が増えやすくなり、どぶのような独特のニオイを感じる人もいます。

 

どぶ臭い口臭を改善するために歯科でできること

朝の強い口臭、特にどぶ臭さのような独特のニオイが続く場合、日常のケアだけでは改善が難しいケースが多くあります。こうしたニオイには、歯周病やむし歯、舌苔、口呼吸、義歯の清掃不足など、お口のトラブルが複数関わっていることが多く、原因ごとに適切な専門的ケアを受けることで改善につながります。ここでは、当院で行える改善方法を中心に、歯科でどのような対処が可能なのかを詳しく解説します。

 

①歯周病の検査と治療

歯科ではまず、歯ぐきの状態を検査し、歯周ポケットの深さを測定します。また、レントゲンで骨の状態を確認することで、どの程度歯周病が進行しているかを把握できます。軽度の場合は歯石除去で改善が見込めますが、中等度以上になると、歯周ポケット内部の汚れを徹底的に除去する「深部清掃(スケーリング・ルートプレーニング)」が必要です。

歯周病治療では、専用の器具を使って歯石や細菌の膜(プラーク)を丁寧に除去します。患者様ご自身では届かない深い場所の汚れを取り除くことで、ニオイの発生を抑え、歯ぐきの炎症を改善していきます。継続して通院することで、朝の口臭が徐々に軽減していく方が多く見られます。

②むし歯・歯の根の治療

歯科では、むし歯の程度に応じて詰め物・被せ物の治療を行ったり、根の中の感染を取り除いて清掃・薬剤で殺菌する「根管治療」を行います。根管治療は時間がかかる場合もありますが、内部の感染を取り除くことでニオイの原因を確実に軽減できます。

以前治療した歯の詰め物が劣化し、隙間から細菌が入ってニオイが発生するケースもあります。そうした場合は詰め物の再治療や被せ物の作り直しを行うことで、改善が期待できます。

③舌のクリーニングとセルフケアの指導

舌は非常にデリケートな組織のため、強くこすりすぎると傷つき、逆に舌苔がつきやすくなることがあります。そのため、適度な力で優しく動かすことが重要です。むやみにケアするのではなく、専門的な視点から適切な方法を知ることによって、ニオイの軽減につながります。

④口呼吸への対策と生活習慣の相談

以下のような対策があります:

・鼻づまりの原因がある場合は、耳鼻科との連携

・寝る姿勢や枕の高さの見直し

・寝ている間に口が開かないようにするテープの利用

・歯並びや噛み合わせに問題がある場合の相談

特に、舌の位置が下がっている「低位舌」の場合、口呼吸につながりやすく、朝の口臭を悪化させます。舌のトレーニングや生活習慣の調整を行うことで改善が期待できます。

⑤義歯(入れ歯)やマウスピースの専門的なクリーニング

歯科では、専用の超音波洗浄器や薬剤を使って、義歯や装置の細かな部分まで清潔にすることができます。これにより、表面に付着していた細菌や汚れが取り除かれ、お口全体の衛生状態が改善します。また、日常の手入れの方法や適切な洗浄剤の選び方についても詳しく説明します。

⑥定期的な歯科クリーニングでお口の環境を整える

歯科で行うクリーニングでは、専用の器具を用いて歯石や汚れを徹底的に除去し、お口全体を清潔に整えます。歯石は患者様のセルフケアでは落とせないため、定期的な除去が重要です。定期的に通院することで、口臭の原因となる環境を根本から整えることができます。

また、クリーニング後は歯の表面がツルツルになり、汚れが付きにくい状態になります。この効果によって、朝の口臭の軽減にもつながります。

 

今回は、朝起きるとどぶ臭い口臭がする理由と、歯科でできる改善方法について説明しました。

朝の強いニオイは、唾液の減少、舌苔、歯周病、むし歯、口呼吸、義歯の清掃不足などが重なって起こることが多く、放置すると悪化してしまう場合もあります。専門的な検査や治療、クリーニングによって原因を明確にし、適切に対処することで、患者様のお口の状態は大きく改善していきます。毎日のケアだけでは解消しづらいケースもあるため、気になる方は早めに確認することが大切です。

あおぞら歯科クリニック本院では口臭に関するご相談を随時実施しておりますので、ぜひご相談ください。

この記事の編集担当は古橋淳一歯科医師です。